都民憩いの自然溢れる公園「井の頭恩賜公園」
1917(大正6)年に日本初の郊外公園として誕生した「井の頭恩賜公園」は、三鷹市と武蔵野市にまたがる大規模公園。公園の中心には、外周約1.5kmの「井の頭池」があり、のんびりスワンボートなどを楽しむこともできる。さらに、雑木林や「井の頭自然文化園」、「三鷹の森ジブリ美術館」などを擁しているこの公園は、都民の憩いのスポットとなっている。
湧き水の豊かな「井の頭池」は、江戸の街に飲料水を供給する上水道であった「神田上水」の水源としても知られており、江戸時代の浮世絵師・歌川広重による『名所江戸百景』のひとつとして「井の頭の池弁天の杜」が描かれるなど、古くからの歴史がある場所。歌川広重が描いた「井の頭弁財天」は、もともと、関東源氏の祖である源経基が創建し、伝教大師が789(延暦8)年に作ったという弁財天女像をこの地に安置したのが始まり。1197(建久8)年に源頼朝が東国の平安を祈願してお堂を建立したとされている。その後、徳川家光によって再建されたが、1923(大正12)年の関東大震災で損壊、翌年に焼失。現在「井の頭池」の池畔に存在する弁天堂は、昭和初期になって建てられたものである。
この「井の頭恩賜公園」は、4つの区域に分かれている。「井の頭池」周辺エリア、「御殿山」エリア、「西園」エリア、西園の南東にある「第二公園」エリアの4つだ。まず紹介したいのは、「井の頭池」とその周辺のエリア。ここでは、土・日曜日や祝日になると「井の頭公園アートマーケッツ」が開催され、手作りの作品が販売されるほか、大道芸人などのパフォーマンスを楽しむことができる。また、池の周囲に植えられた桜は、春には見事な花を咲かせるお花見スポットとしても有名で、「日本さくら名所100選」にも選ばれている。
「御殿山」エリアには、武蔵野の風景の面影が残る美しい雑木林が存在している。かつて武蔵野地域が、徳川の将軍が鷹狩りを楽しんだ場所であり、徳川家光が鷹狩りの際に宿所を設けたところから名づけられた「御殿山」。現在は、この明るい木立の中で、バードウォッチングを楽しむ人々の姿も多い。もちろん、のんびりと散歩をするだけで、気持ちもすっかりリラックス&リフレッシュできるはずだ。
雑木林を抜けて吉祥寺通りを西へ渡れば、そこは「井の頭自然文化園」。モルモットを膝の上で抱ける「ふれあいコーナー」や、放し飼いのリスが足もとを横切っていく「リスの小径」などがあり、子どもたちでいつも賑わっている。また、約200点の彫刻が展示されている「彫刻園」や、メリーゴーランドなどがあるミニ遊園地「スポーツランド」も併設されている。
日本が誇るアニメーションスタジオ運営の美術館
「西園」は、競技場、テニスコート、野球場、野外ステージなどの施設があるエリア。「健康と文化を育む、スポーツ・交流空間の森」を基本理念とする、スポーツやレクリエーション、文化芸術活動などを楽しめる区域となっている。また、「三鷹の森ジブリ美術館」があるのもこの区域。一歩足を踏み入れると、そこはすべてがジブリアニメの世界。映画の制作過程がわかる展示や館内限定の短編アニメ上映が行われているほか、子どもたちが入って遊べる「ネコバスルーム」、ジブリ関連の書籍がある図書閲覧室「トライホークス」などもある。
いつも大人気のこの美術館。入場には、あらかじめ日時指定の予約制チケットをローソンで予約しておくことが必要だ。ただし、三鷹市、武蔵野市、小金井市、西東京市、調布市、府中市に在住、在勤及び在学であれば、「三鷹市・近隣市民枠チケット」もあるのでチェックを。
「第二公園」エリアは一番小さなスペース。木立の中に芝生が美しい広場やベンチなどが設けられたちょうどいい規模の公園だ。園内には、舗装された遊歩道も設けられているので、ウォーキングにもぴったり。
井の頭公園ランチやカフェも充実
さらに、「井の頭恩賜公園」の自然を満喫するなら、公園内や公園周辺にあるレストランやカフェで過ごすのもおすすめ。「井の頭池」のほぼ中央にあたる七井橋を渡ると森があり、その正面にあるのが「ペパカフェ フォレスト」だ。周囲を木々で囲まれた同店は、オープンテラスになっており森林浴気分を楽しめる。メニューはタイ料理をメインに、アジア地域の美味しい料理と飲み物。そのほか魚介居酒屋の「subLime 井の頭公園店」、ガレットが人気の「cafe du lievre(カフェ・ドゥ・リエーヴル) うさぎ館」など、気分に合わせて好きな店を楽しもう。
街のシンボル井の頭公園を巡る
所在地:東京都三鷹市