JR線・東京メトロ線「四ツ谷」駅から甲州街道沿い、新宿方面に広がる四谷エリア。江戸時代、このエリアには甲州街道方面から江戸に出入りする人々をチェックするために「四谷大木戸」が設けられていた。開設当初はその名の通り木戸が設けられ、夜間には閉鎖されていたが、やがて木戸は開かれたままになり、撤去されたという。今も「新宿区立四谷区民センター」の隣には四谷大木戸門の碑が建ち、こうした歴史を偲ぶことができる。
江戸の歴史の面影が残る四谷
また、江戸城の濠が建設にあたって、現在の麹町付近にあった寺社が四谷に移転。以後、門前町としても発展した。この濠の設置に合わせて江戸城との間には「四谷見附門」と呼ばれる門も設けられている。現在も「四ツ谷」駅近くに石垣が残っており、当時の名残を見ることができる。
外国人観光客にも人気の神社
江戸城の守りの拠点として発展を遂げた四谷の総鎮守として崇められているのが「須賀神社」だ。江戸前期からこの地に鎮座するという長い歴史を持つ神社で、毎年6月の例大祭は、江戸五大祭りの一つに数えられるなど、大いににぎわったそうだ。今も例大祭や酉の市などの祭礼には、多くの人々が集まり、信仰の篤さを感じさせてくれる。
風情ある坂道が情緒漂う街並みを生み出しているのもこのエリアの特徴で、知る人ぞ知るグルメの店が多いことでも有名だ。特に有名グルメガイドで星を獲得した店が集まる「荒木町商店会」をはじめ、フレンチや中華など多彩な店が並ぶ「杉大門通り商店街人気会」、庶民的でカジュアルな飲食店が多い「しんみち通り」など飲食店街が多く、お気に入りの味を求めて、日々、食通たちが通ってくるという。
都心のなかにあり自然溢れる
四谷エリアは緑が多いことも特徴だ。紀州徳川家の上屋敷であった「赤坂御用地」をはじめ、信濃高遠藩内藤家の下屋敷であった「新宿御苑」、青山の地名の由来にもなった大名の青山家屋敷跡に造られた「明治神宮外苑」など、都心にありながら緑豊かなスポットに囲まれている。美しい並木が続く道も多く、折に触れて散策すれば四季の移ろいを感じられるだろう。
交通アクセスや暮らしの利便性はもちろん、長い歴史が醸し出す風格や豊かな自然から生み出される安らぎに満ちている新宿区四谷エリア。都内でもこの街にしかない魅力がたくさんある。
緑豊かで情緒あふれる街並みも残る四谷エリア
所在地:東京都新宿区