豊かな自然と文化が息づく三鷹

吉祥寺の隣駅「三鷹」の歴史

三鷹は東京都心への交通アクセスがよく、緑豊かな住宅地。小中一貫教育を実施するなど、教育に力を入れている自治体としても知られており、子育て世帯にも人気のエリアとなっている。

この地の歴史を振り返ると、三鷹は代々徳川家の鷹狩りが行われる御鷹場であった。現在の「三鷹」駅の南側のエリアは、江戸時代の1657（明暦3）年におこった明暦の大火で、神田連雀町の住民が移住してきて開墾が始められた場所。1889（明治22）年に甲武鉄道（現・JR中央線）が新宿～八王子間で開通したが、当時まだ「三鷹」駅はなく、1930（昭和5）年になって開設された。1923（大正12）年の関東大震災をきっかけに、さらに多くの人々が三鷹へ住むようになり、農地は住宅地へと変化する。戦後の昭和30年代から団地などの集合住宅の建設が相次ぎ、人口が急増。次第に都市基盤が整い、現在のような街へと成長を遂げた。

市内にある「神龍山 井口院」や「禅林寺」は、明暦の大火の頃に建てられた歴史ある寺院。「神龍山 井口院」は「雨乞い弥勒菩薩」が有名で、かつて人々が降雨を願って訪れたという。現在も、関東八十八ヵ所霊場第70番、多摩新四国八十八ヵ所霊場第3番札所として多くの巡礼者がお参りをしている。「禅林寺」は、明暦の大火で移住してきた人々が、浄土真宗本願寺派の寺院として創建。その後、黄檗宗の僧侶により再興され現在の名前がつけられた。境内には、三鷹に住んだ小説家・太宰治の墓もある。

文化人に愛された街

太宰治をはじめ、三鷹は多くの文化人に愛された土地。三木露風・亀井勝一郎・山本有三・武者小路実篤などが移り住んだことで知られている。現在もその足跡が残されており、「太宰治文学サロン」では、三鷹下連雀での日々を写真や地図などを使って展示されており、また、「三鷹市山本有三記念館」では、実際に山本有三が暮らしていた洋風建築で、文献や身辺資料とともに住居も公開されている。

三鷹にはそのほかにも、数多くの文化スポットが点在している。「国立天文台 三鷹キャンパス」は、最先端の天文観測設備を備えた施設。キャンパス内の「天文台歴史館」などの施設が公開されており、特別公開や月2回の定例観望会も開催されている。「三鷹市 星と森と絵本の家」は、「国立天文台」の構内で三鷹市が運営する施設。星、森、人という3つのテーマを中心に集められた約2,500冊の絵本が所蔵されていて、子どもたちの感性を育む場となっている。さらに、全国的にも有名な「三鷹の森ジブリ美術館」があるのも三鷹。三鷹市のマスコットキャラクターであるPoki（ポキ）も、宮崎駿氏によって生み出されたものである。

このような環境は子育てにも最適だ。三鷹市では、小学校・中学校の9年間で小中一貫教育を実施している。これは、中学校の校区内にある小学校と中学校をひとつの学園として設定したもので、小中それぞれの先生がお互いの学校で教えられているカリキュラムを理解したうえで指導にあたっている。この小中一貫教育は、保護者や地域住民も一緒になって学校づくりを行う「コミュニティ・スクール」を推進していることも特徴だ。

三鷹市には「杏林大学」「国際基督教大学」「東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター」など大学のキャンパスも多く、街の中にアカデミックな雰囲気が漂っている。

三鷹エリアのシンボル「井の頭恩賜公園」

自然の豊かさでも人気の三鷹。「井の頭恩賜公園」のほか、田園風景が守られている「大沢の里」には、蛍の住む湿生花園「ほたるの里 三鷹村」がある。また、広い面積を誇る「牟礼の里公園」や、農業体験やバーベキューのできる「三鷹市農業公園」もある。このように、武蔵野台地の面影を残す緑豊かな公園が、随所にちりばめられているのだ。

もちろん、都心への交通面も快適。「三鷹」駅にはJR中央線の特別快速が停まるほか、JR中央線・総武線の各駅停車が利用でき、一部、当駅発着で運行される電車もある。また、東京メトロ東西線への直通電車もあり、「新宿」駅や「大手町」駅など都内の主要駅まで快適に移動ができる。駅前には、2010（平成22）年に「三鷹ロンロン」から生まれ変わった駅ビル「アトレヴィ三鷹」や、ファッション・雑貨・カフェ・レストランなどを楽しむことができ、食料品売り場も備えた「三鷹コラル」などがあり、ショッピングにも便利な環境となっている。