六甲山の自然の恩恵を受ける夙川
西宮市の西部に位置する夙川(しゅくがわ)エリアは六甲山地から流れ出す夙川など自然に恵まれ、古くから邸宅街として人気を集めてきた。現在も大阪市中心部や神戸市中心部にアクセスしやすく、緑豊かで閑静な佇まいの住宅地として注目され続けている。
夙川エリアの玄関口となる「夙川」駅には阪急神戸線と阪急甲陽線が乗り入れる。阪急神戸線は特急や通勤特急などすべての電車が停車し利用できる電車の本数が多い。2007(平成19)年にはJR神戸線の「さくら夙川」駅が開業し、さらに便利になった。
「夙川」駅前にはスーパーマーケット「ダイエーグルメシティ夙川店」をはじめ約60店舗の専門店が集まる「夙川グリーンタウン」があり、買い物の利便性にも恵まれている。
美しい川のせせらぎと水に恵まれた地
夙川エリアを流れる夙川は六甲山地を水源とし、大阪湾に注ぐ約7kmの川だ。うち約4kmは川全体が「夙川河川敷緑地(夙川公園)」という公園として整備されている。「夙川河川敷緑地」は1951(昭和26)年に戦災復興事業の一環として「夙川公園」が都市計画決定されたことにより、河川敷を公園化することになったものだ。こうした歴史もあり、2006(平成18)年には「日本の歴史公園100選」と「美しい日本の歴史的風土準100選」に選ばれている。
また公園内の夙川には飛び石が何ヵ所もあり、水遊びを楽しむことができ、川岸では魚釣りなども楽しめる。遊具があるスペースもあるので、子どもが遊ぶ姿も多く見られる。
「夙川河川敷緑地(夙川公園)」は四季折々美しい風景も楽しめる。1949(昭和24)年には夙川沿いの約2.8kmに約1,000本の桜が植えられた。桜が成長した現在は、春になると松林の濃緑と桜の薄紅が絶妙なコントラストを生み出し、1990(平成2)年には「日本さくら名所100選」に選ばれた。開花に合わせてライトアップされた夜桜も趣があり、見どころのひとつと言えよう。桜の花が散ると、夙川沿いでは鯉のぼりが飾られる。川面に映る鯉のぼりの姿もまた清々しい。
夙川には多くの橋が架けられ、桜や鯉のぼりと背後の六甲の山々を眺められる。折に触れて散策するのも夙川に暮らす楽しみとなるだろう。
歴史的建造物や風景などの散策スポット
夙川エリアには他にも散策スポットが多い。貯水池として造られた「ニテコ池」は映画にもなった『火垂るの墓』のモデルとなった場所として知られている。池の周囲には桜並木があり、春には花見の人でにぎわう。
「ニテコ池」のほとりに鎮座する「名次神社」は「廣田神社」の摂社で、緑の中に建つ赤い鳥居が神秘的だ。また「ニテコ池」の西には、2008(平成20)年に大阪府枚方市へ移築されるまでパナソニックの創業者である松下幸之助の邸宅として建てられた「光雲荘」があった。
夙川から少し東に入った場所に建つ「旧山本家住宅」は昭和初期に実業家の近藤寿一郎の邸宅として建てられたものだ。その後、実業家の山本清が暮らし、現在は山本が夫人とともに収集した美術工芸品の展示や文化教室の会場として使われている。
「カトリック夙川教会」は1932(昭和7)年に建てられたゴシック・リバイバル様式の大聖堂で、阪神・淡路大震災でパイプオルガンを失ったものの美しい建物は現在も残っている。
交通アクセスや買い物環境に恵まれた場所で、緑や歴史を訪ねて散策を楽しむ。夙川エリアではそんな優雅な暮らしを満喫できるだろう。