絶え間なく進化を続ける中之島エリア
大阪市北区の堂島川と土佐堀川に挟まれた中洲に位置する中之島エリアは、江戸時代には大阪湾から運ばれる物資を集めた蔵が並び、大阪の経済の中心地として発展してきた。現在も中之島エリアは「大阪市役所」を擁するなど、大阪市の政治、経済の中心だ。
中之島エリアは京阪中之島線開通などインフラ整備が進み、再開発も盛んに行われてきた。今後はなにわ筋線の開業も予定されており、さらなる発展も期待されている。
京阪中之島線による中之島エリアの鉄道開通
長い間、中之島エリアには鉄道路線が通っておらず、土佐堀川の対岸にある「淀屋橋」駅や「北浜」駅、「肥後橋」駅などが最寄りとなっていた。2008(平成20)年、中之島エリアを貫く新しい路線、京阪中之島線が開通した。
京阪中之島線は「天満橋」駅と「中之島」駅の3.0kmを結び、中之島エリア内にも「中之島」駅、「渡辺橋」駅、「大江橋」駅、「なにわ橋」駅の4駅が開設された。これにより、中之島エリアの交通アクセスは飛躍的に向上している。
京阪中之島線は「中之島」駅から先、「西九条」駅でJR大阪環状線などと接続し、「ユニバーサルスタジオジャパン」付近の「(仮称)新桜島」駅へ延伸する構想もある。
「新大阪」駅や「関西空港」直結のなにわ筋線も乗り入れ
現在、「大阪」駅の地下に設けられる新ホームと「JR難波」駅、「新今宮」駅を結ぶなにわ筋線整備事業が2031(令和13)年春の開通を目指して進められている。なにわ筋線は中之島エリアにも駅が設けられる予定だ。
なにわ筋線には「新大阪」駅や「関西空港」へ向かう列車も乗り入れる計画がある。なにわ筋線が開通すれば、中之島エリアから東海道・山陽新幹線利用や「関西空港」からの飛行機搭乗が便利になるほか、京阪中之島線との乗り換えも可能になる。中之島エリアは大阪の新たな交通拠点になりそうだ。
再開発で先端医療拠点が誕生
京阪中之島線開通で交通アクセスの利便性が向上した中之島エリアでは2012(平成24)年に「中之島フェスティバルタワー」、2017(平成29)年に「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」が完成するなど、再開発も進んできた。
中之島エリアでは、未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」が、2024(令和6)年6月に全面開業した。リエゾンオフィスや産学医連携ベンチャーエコシステム、未来医療推進機構が入る「未来医療R&Dセンター」、病院や診療所、⾼度健診センターが入る「未来医療MEDセンター」、カンファレンスセンターやコミュニティカフェ、未来医療ミュージアムが入る「中之島国際フォーラム」の3つの施設で構成され、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを用いた再生医療の産業化や推進を目指す。
再開発に合わせて、「大阪中之島美術館」の北からなにわ筋線新駅には中央緑道、「大阪中之島美術館」の西には南北・東西に通関するプロムナードを設けるなど、歩行者動線も整備された。
新線の開通や再開発でさらに魅力を増す中之島エリア。これからも大阪の拠点として発展を続けていきそうだ。