東京の地下鉄路線の拠点に進化した麻布十番エリア

地下鉄開通で交通アクセスの利便性が向上

麻布十番エリアは古くから商店街が発展するなど、地域の中心として機能してきた。外苑東通りや麻布通りが通過するなど道路交通の要衝でもあったが、長い間鉄道路線はなかった。営団地下鉄（現・東京メトロ）日比谷線は当初、麻布十番エリアを経由する計画だったが、人通りの流れの変化を危惧する商店街から反対運動が起こり、六本木経由に変更されたといわれる。

2000（平成12）年に東京メトロ南北線と都営地下鉄大江戸線が全線開通し、麻布十番エリアには待望の地下鉄駅として「麻布十番」駅が開設。「麻布十番」駅はこれら2線の乗り換え駅としてもにぎわうようになった。

東急目黒線とも直通する東京メトロ南北線

東京メトロ南北線は「目黒」駅から「赤羽岩淵」駅間の 21.3 kmを結び、開業時からワンマン運転を実施、駅には天井近くまでホームドアが設けられるなど先進的な路線として注目された。

1991（平成3）年に営団地下鉄（現・東京メトロ）南北線として、「駒込」駅から「赤羽岩淵」間が開業。1996（平成8）年に「四ツ谷」駅、1997（平成9）年に「溜池山王」駅まで延伸され、2000（平成12）年の「目黒」駅から「溜池山王」駅間の開業に伴い「麻布十番」駅も開業した。「目黒」駅延伸時から東急目黒線との直通も行われており、2008（平成20）年から「日吉」間まで直通運転区間が延伸されている。

都心の地下を環状に走る大江戸線

都営地下鉄大江戸線は「光が丘」駅から「新宿」駅間の放射部と「新宿」駅から「都庁前」駅間の環状部があり、両者合わせて距離は40.7km、38駅を有する。東京都内唯一のリニアモーター方式の地下鉄で、急こう配や急カーブにも対応可能だ。

1991（平成3）年に都営地下鉄12号線（現・大江戸線）として「光が丘」駅から「練馬」駅間開通したのち、1997（平成9）年には「練馬」駅から「新宿」駅間延伸された。2000（平成12）年4月に「新宿」駅から「国立競技場」駅間開業時に、路線名も都営地下鉄大江戸線と改められている。2020（平成12）年12月には残る区間も開通し、この時に「麻布十番」駅も開業している。

「日吉」駅からのアクセス改善。伴う東海道新幹線、中央リニア新幹線接続も期待

2023（令和5）年3月に東急新横浜線「日吉」駅から「新横浜」駅間と相鉄新横浜線「新横浜」駅から「羽沢横浜国大」駅間が開通した。東京メトロ南北線から東急目黒線経由で東急新横浜線、相鉄新横浜線への直通も始まり、「麻布十番」駅から「新横浜」駅などへのダイレクトアクセスが実現している。

さらに、東京メトロ南北線の「白金高輪」駅から「品川」駅間の延伸も動き出した。かつては地下鉄路線に恵まれなかった麻布十番エリアは、都内有数の地下鉄路線の要衝に進化した。「品川」駅への延伸が実現すれば、東海道新幹線、中央リニア新幹線乗り換えなど利便性向上が期待され、麻布十番エリアのさらなる発展につながりそうだ。

東京の地下鉄路線の拠点に進化した麻布十番エリア
所在地：東京都港区