ターミナル「新宿」駅近くで豊かな緑を併せ持つ
渋谷区は東京23区の中央からやや西側に位置し、ショッピング施設やエンターテイメント施設、オフィスなどが集まるにぎやかな街だ。
渋谷区の北端に位置、新宿区と接する場所に位置する代々木エリアは北側でビッグターミナル「新宿」駅が近接し、交通アクセスやショッピングの利便性が高い一方、「明治神宮」や「代々木公園」、「新宿御苑」など豊かな緑にも恵まれている。代々木という地名は現在の「明治神宮」内に、かつて代々樅の大木があったためと伝えられる。
全国の樹木が集まる「明治神宮」
代々木エリアの南に広がる「明治神宮」は明治天皇と昭憲皇太后を祀る神社だ。「明治神宮」の境内はかつて、肥後藩加藤家の別邸、彦根藩井伊家下屋敷として使われており、明治維新後に御料地となった。明治天皇崩御後、神宮創設の機運が高まり、1920(大正9)年に御料地を利用して創建された。
「明治神宮」創建時には境内に全国の樹木が植えられ、現在は深い森に成長している。「明治神宮」は初詣の参拝者数日本一を誇るなど、現在も多くの人が訪れている。
広大な緑が広がる「代々木公園」
「明治神宮」の西には都内有数の規模を誇る「代々木公園」が広がる。ここはかつて陸軍の練兵場として使われていた場所で、戦後は米軍の宿舎になった。1964(昭和39)年の東京オリンピックの選手村が設けられ、閉幕後、公園として整備された。
現在の「代々木公園」には噴水や広場など憩いのスポットのほか、サイクリングコースやドッグランなどもアウトドアを満喫できる施設もそろう。野外ステージもあり、フリーマーケットや音楽イベントなどもしばしば開かれている。
3種類の庭園が広がる「新宿御苑」
代々木エリアの北東には「新宿御苑」が広がる。江戸時代は信濃高遠藩内藤家の下屋敷があった場所で、明治維新後に御料地となり、1949(昭和24)年から一般開放された。
日本庭園、イギリス風景式庭園、フランス式整形庭園があり、四季折々の風景を楽しめる。桜の名所としても知られ、シーズンには訪れる人の目を楽しませてくれる。
新宿発展の礎となった「内藤新宿」
「新宿御苑」の北には甲州街道が通る。甲州街道は江戸時代に五街道の一つとして整備され、江戸から現在の長野県にあった下諏訪宿を結ぶ。「新宿御苑」付近には甲州街道最初の宿場「内藤新宿」が設けられていた。「内藤新宿」は江戸四宿の一つに数えられ、青梅街道が分岐する交通の要衝であった。
「内藤新宿」が置かれたことをきっかけに、新宿の街が発展を始め、やがて現在のような巨大都市に成長した。今も「内藤新宿開設三百年記念碑」などに当時の面影を偲べる。
暮らしの利便性に恵まれながら、緑や歴史の薫りも漂う代々木エリアはのんびりと散策を楽しむのも心地よい街だ。