緑や歴史も感じられる穏やかな住宅地
都心に近いながら、閑静な佇まいに恵まれた世田谷区は古くから住宅地の開発が進み、今も人気の邸宅街が多い。小田急小田原線「経堂」駅周辺に広がるエリアも、「新宿」駅や都心に短時間でダイレクトアクセスできる利便性の高い住宅地として注目を集めている。公園、緑地などの自然や歴史を感じられるスポットが醸し出す潤いもこのエリアの魅力だ。
ユリノキ並木が彩る「北沢川緑道」
小田急小田原線の「経堂」駅を北口に出ると、「北沢川緑道」が東西に伸びる。北沢川は京王線「上北沢」駅付近の「東京都立松沢病院」内を源流とし、三宿エリアで烏山川と合流して目黒川となる。現在の北沢川は暗渠化され、四季の移ろいを感じられる散策路になった。
とくに「経堂」駅から「豪徳寺」駅付近の区間は、周辺の住民の要望を取り入れ、レンガの歩道とユリノキの並木が続くおしゃれな通りになっており、「ユリの木通り」として親しまれている。
早春には梅の香りが漂う「羽根木公園」
「経堂」駅から「北沢川緑道」を東へ進むと北側に「羽根木公園」が広がる。「羽根木公園」では1967(昭和42)年に55本の梅が植樹された。その後も約10回の植樹が行われ、現在は約60品種650本の梅林になった。梅が見ごろを迎える早春には梅まつりが開催され、遠方からも多くの人が訪れる。「羽根木公園」では大人のプレーリーダーが見守るなか、子どもが自由に遊べるプレーパークも開かれており、子どもにも人気のスポットだ。
招き猫発祥の地としても知られる「大谿山 豪徳寺」
「羽根木公園」から「北沢川緑道」を逸れ、南へ歩くと「経堂山 福昌寺」に至る。ここは中世に「世田谷城」が置かれていた場所で、武蔵吉良氏の居城として使われていたという。その後、世田谷城主であった吉良政忠により城内に庵が結ばれた。
時は下り、江戸時代になると「世田谷城」跡には彦根藩主であった井伊直孝がこの庵を「経堂山 福昌寺」として井伊家の菩提寺にした。猫が井伊直孝を門内に招き、雷雨を避けつつ和尚の話を聞きたことをきっかけに井伊家の菩提寺となったという伝説もあり、「大谿山 豪徳寺」は招き猫発祥の地としても知られる。2006(平成18)年には猫の彫り物がある三重塔も完成し、地域のシンボルとして親しまれている。
万葉集に詠まれた草花を鑑賞できる「烏山川緑道」
「大谿山 豪徳寺」の南には「烏山川緑道」が伸びる。「烏山川緑道」は千歳台の「千歳温水プール」付近から「北沢川緑道」との合流地点まで約7km続く散策路だ。東急世田谷線の西側、宮坂一丁目エリア付近の「烏山川緑道」は「万葉の小径」として、万葉集に詠まれた草花が植えられ、歌碑も添えられている。四季折々の風景を眺めながら「烏山川緑道」を西へ歩けば「経堂」駅の南へ戻れる。
休日には自然と歴史を感じながら散策するのも、経堂エリアの暮らしに彩りを加えてくれるだろう。
経堂エリア周辺の緑や歴史を訪ねて歩く
所在地:東京都世田谷区